坂本龍一さん逝去
3月28日に坂本龍一さんがお亡くなりになりました。享年71才。
ちょっと遅くなりましたが、坂本龍一さんのことについて書いてみようかと。
坂本さんの音楽は、結構、ハマっていましたので、わりと坂本龍一「通」になっているほうかもしれません。なので文章にしたためようとすると、あれもこれもになってしまいますね。
で、坂本龍一さんといえばYMOですね。YMOといえば、先般、高橋幸宏さんがお亡くなりになったばかり。高橋さんに続いての逝去。
坂本さんは、YMO時代の作品もさることながら、その後も数多くの音楽を作り、ヒット曲も数多かったですね。「戦場のメリークリスマス」「エナジーフロー」「ラストエンペラー」はよく知られていると思います。
坂本龍一デビューアルバム「千のナイフ」はお気に入り
が、私としては、坂本龍一さんといえば、デビューアルバムの「千のナイフ」ですね。
これです。
1978年のリリース。
ちなみに「千のナイフ」の冒頭で語っているモノローグは、なんと!毛沢東が作った詩。毛沢東が狼煙をあげた井岡山を称えて作った詩であるとか。
つまり坂本さんは、毛沢東に重ねて、自身のアルバムデビューを飾ったことになるんでしょうね。が、これも納得といいますか^^; 後述しますが、坂本さんは高校生の頃から政治活動に熱心だったんですよね。
それはさておいて、実は、このアルバムに収録されているいくつかの曲は、今でも聴いています(^o^)
- Thousand Knives(千のナイフ)
- The End of Asia
- Das Neue Japanische Elektronische Volkslied
- Plastic Bamboo
これらですね。もう、45年も経つんですが、今でも聴いているという塩梅。車の中では定番です。
どんだけサカモトさんの曲が好きなのか、わかるってもんです^^;
黎明期シンセサイザー「Polymoog」を使用
で、これらの作品は、当時出回っていたMoogの「PolyMoog」や「Arp odyssey」という黎明期のシンセサイザーを使用して作った作品。
まだモジュレーション系のエフェクターが充実していなかったため、チープな作りになっているんですが、和声感覚が素晴らしいこと^^
ちなみに「Polymoog」とは、こんなシンセサイザーです。
1976 Polymoog Film
これですね^^
このシンセサイザーを駆使して作ったのが「千のナイフ」。
編曲家「坂本龍一」としての著名な作品
で、坂本さんは「わかりやすいメロディに凝ったアレンジ」がモットー。編曲(アレンジ)に美しくも深いものが多かったりします。
実は巧みな編曲家としても知られています。「知られざるヒット曲」もあったりします。
サーカス「アメリカン・フィーリング
たとえば昭和の時代にヒットしたサーカスの「アメリカン・フィーリング」。これは坂本龍一さんによるアレンジ。
わらべ「メダカの兄弟」
童謡にも造詣が深く、わらべの「メダカの兄弟」もそうですね。編曲が坂本龍一さん
ちなみに、この曲。1番の歌詞は「スズメ」。2番目は「ネコ」。3番目が「メダカ」なんですよね^^;
3番目の歌詞が曲名になっているという塩梅。
NHK「コンピュータおばあちゃん」
あと「コンピュータおばあちゃん」も、坂本さんによる編曲です。
ちなみに「作曲」が坂本さんと思われているみたいですが、違うんですよね。作曲は別の人です。「伊藤良一」さんという方。
で、伊藤良一さんの娘さんが、以前、ツィッターで、このことを力説していました。
「コンピューターおばあちゃん」が坂本龍一さんの曲だと言われることがあるけど編曲が坂本さんで作詞作曲はうちの父なんだ! – Togetter
作曲は、伊藤良一さんですね。編曲が、坂本龍一さん。テストに出るので、覚えておきませう^^
YMO「Rydeen」
ちなみにYMOの「Rydeen」。
YMOの看板となった曲ですね。
作曲は、高橋幸宏さんです。
アレンジは、アルバムクレジットでは「YMO」となっています。が、実は、ほとんどが坂本さんによるアレンジです。
こちらでも解説しましたが、Bメロのコードは、ジャズのモード理論バリバリの響きなんですよね。
ラィディーンはメチャクチャ凝った作りをしている
平易なメロディに凝った和声。強引に表記すれば「B♭9/G」-「F69/A」というコード。まさに坂本流の作り方が炸裂しています。
大貫妙子「夏に恋する女たち」
あと、TBSドラマで有名になった、大貫妙子「夏に恋する女たち」。
これも坂本さんによるアレンジです。
もう、ビューティフル\(^o^)/
こちらも著作権の関係で動画を紹介できませんので、YouTubeで検索してみてください^^;
この「夏に恋する女たち」を聴いたときは、その美しいアレンジにため息がでて、もう徹底的に分析(解析)しましてね。
で、解析すると、不思議なコードがバンバン出てきて、「なんじゃこりゃー!?」と思ったものでした。
で、調べていくと、アメリカのポップスで使われているジャズ由来のコードとか、複雑怪奇なコードがさりげなく使われているんですね。
ちなみに「夏恋」が収録されている大貫妙子さんの「SIGNIFIE」、これもまた絶妙なアルバム。
確か全曲、坂本龍一さんによるアレンジだったと思います。非常~~~に素ン晴らしいですよね^^
それにしても「夏に恋する女たち」は名曲、名アレンジですね。オフィシャルで公開して欲しいです。
アントニオ・カルロス・ジョビンへのトリビュート「CASA」
音楽は、編曲(アレンジ)によってまったく趣が変わります。坂本さんは引き出しが多く、さまざまな編曲ができる達人。ボサノバのアレンジも天下一品です。
アントニオ・カルロス・ジョビンへのトリビュートアルバムの「CASA」には、そんな坂本さんの素晴らしいボサノバアレンジを聴くことができます。
著作権の関係で、音源を紹介できないのが残念なんですが、シック(落ち着いた)に仕上げた坂本流ボッサを堪能できるんですね。アレンジの感じは伊藤ゴローさんにも似ています。
ちなみに、YouTubeで検索すると、音源が見つかります^^ アルバム収録のリストを掲載しておきます。
- AS PRAIAS DESERTAS
- AMOR EM PAZ
- VIVO SONHANDO -DREAMER-
- INUTIL PAISAGEM
- SABIA
- CHANSON POUR MICHELLE
- BONITA
- FOTOGRAFIA -PHOTOGRAPH-
- IMAGINA
- ESTRADA BRANCA
- O GRANDE AMOR
- CANCAO EM MODO MENOR
- TEMA PARA ANA
- DERRADEIRA PRIMAVERA
- ESPERANCA PERDIDA -I WAS JUST ONE MORE FOR YOU-
- SEM VOCE
アレンジも優れていた坂本龍一さん
ということで、坂本龍一さんが手がけた編曲(アレンジ)作品をピックアップしましたが、どれもが印象に残る作品なんですね。
非常にビューティフル。美しい。
ちなみに坂本龍一さんは、ドビュッシー、アントニオ・カルロス・ジョビンが大好きであるとか。
これって私の嗜好と同じなんですよね^^;
なのでワタクシは、坂本さんの作品が好きなのかなあ、と^^;
マイケルジャクソン&エリック・クラプトンもカバーした「Behind the Mask」
あと、坂本龍一さんがYMO時代に作曲した「Behind the Mask(ビハインド・サ・マスク)」。
なんと、「マイケルジャクソン」や「エリック・クラプトン」がカバーしているんですね。
Michael Jackson – Behind the Mask (Official Video)
Eric Clapton – Behind the Mask
「Behind the Mask(ビハインド・サ・マスク)」に関しては、坂本さんは、アメリカ人が好むコード進行(ギターで奏でるコード進行)を採用したといいます。
最初から、アメリカ人の「ロックンロール魂」に響くように作ったというわけですね。
なので必然的に、アメリカ人のソウル(魂)を揺り動かし、大御所の「マイケルジャクソン」や「エリック・クラプトン」のお気に入りになったというわけなんでしょうね。
天界や理想世界の音楽も創った坂本龍一さん
あと、意外なんですが、坂本さんは天界や理想郷をイメージさせる、非常に美しい曲も作っているんですよね。
理想郷の響き「黄土高原」
たとえば「黄土高原」。
こちらは著作権の関係でオリジナルを紹介できないんですが、カバー曲でも、その美しさがわかると思います。
黄土高原は「未来派野郎」に収録されていますね。
天界の空気「Paradise Lost」
あと「Paradise Lost」。
こちらでも紹介しましたね。
Paradise Lost/坂本龍一「音楽図鑑」
これまた非常~~~に美しい\(^o^)/
ちなみに「Paradise Lost」は「音楽図鑑」に収録されていますね。
政治活動にも関心があった坂本龍一さん
そんな坂本龍一さんなんですが、政治活動にも熱心だったんですよね。
最初にも書いた通りで、デビューアルバムの「千のナイフ」では、毛沢東の詩を朗読したりもしていて、左翼活動家の一面もありますからね^^;
そもそも高校生の頃から、政治活動をしていたといいます。高校生のときに読んだマルクスの「共産党宣言」に感銘を受けて、ヘルメットをかぶって大学生に混じって全共闘運動に参加。
高校生のときからですので、生粋の筋金入りの活動家なんでしょうね^^;たぶんファッション感覚で「恰好いいから」というのが本心だったのではないかと思いますが。
この話しは、坂本龍一さんの自著「Seldom‐illegal―時には、違法」にくわしく書いてあります。
けれども、坂本さんの政治思想や信条、それと私生活や言動においては首をかしげるところが多かったかなあ^^;
ドビュッシーの生まれ変わりを自認していた
あと坂本龍一さんは、高校生のときから「ボクはドビュッシーの生まれ変わりだ」と思っていたといいます。
鏡をのぞき込んで「ボクはドビュッシーだ」と思っていたとか。
ドビュッシーも破天荒な人生でしたが、坂本さんも似たような人生だったかもしれませんね。
もっとも歴史を鑑みても、偉大な音楽家は、ほぼすべてが奇人変人です。ワーグナーは裏切り&夜逃げの常習犯だったといいますし^^;作品と人間性との間には、関係性は無いと言われています。
猫好きだった坂本龍一さん
あと猫好きでも知られていましたね。
猫好きが昂じてか、ネコをテーマにした作品も作っています。
子猫物語
これはフジテレビ系列の映画だったような。サントラは、坂本龍一さん、野見祐二さん。
M.A.Y. IN THE BACKYARD
あと、坂本龍一さんの自宅の庭に来ていた「野良猫3匹」を音楽にしたのが「M.A.Y. IN THE BACKYARD」。
ネコの生態を音楽にしたのがよくわかりますね^^
ちなみに庭に来ていた3匹のネコに、
M=モドキ
A=アシュラ
Y=ヤナヤツ
と命名していたとか。
なので「M.A.Y. IN THE BACKYARD」という曲名。
はは^^
Sayonara(さよなら)坂本龍一さん
坂本龍一さんは数多くの作品を残しました。もうね、ありすぎて、どれを紹介して良いやら^^;
2000年代になってから、坂本作品をあまり聴かなくなったものの、1970年代~1990年代の作品は、ほぼすべて知っています。てか、全部聴いたし、買ったぞ(^o^) 坂本さんが手がけた作品もほぼすべて聴いていた。
お笑いの「ダウンタウン」に提供した「ゲイシャガールズ」のCDも買った。「アホアホマン」に扮した坂本さんも見た。
そんな坂本龍一さんがお亡くなりに。
こうして書いていると、昔のことを振り返るわけですが、坂本さんの音楽に惹かれていたんだなあと思いますね(*´∀`*)
そんな坂本さんの最期にふさわしい音楽、レクイエム曲といえば、こちらでしょうかね。
Sayonara
Sayonara(サヨナラ)。
1990年に発表した「Heartbeat」に収録。
ご冥福をお祈りいたします。