ピコピコサウンドこそ元祖テクノ
ピコピコサウンド。
昔のファミコンのサウンドジェネレーターによる方形波が奏でる、なんとも無機質な音楽をいっていますね。
が、ピコピコサウンドこそ元祖テクノだったりします。
それはYMOがやっていましたね。
昭和のバンドです。
が、今ではPerfumeがピコピコサウンドしています。
⇒Perfumeのテクノ革命~テクノポップ音楽はYMO「マニア」向けだった
シーケンサーはテクノを生み出した
PerfumeにYMOの再来を見たわけですが、このYMO、今でも素晴らしいと思うくらい、ハイクオリティなことをやっています。
しかし、当時の新しい音楽やテクノロジーが使われていました。それを「和製」化したともいえます。
たとえば初期に作られたファイアークラッカー
この曲は、ピコピコと鳴っている16分音符のシーケンスフレーズがあります。
が、これは当時、「MC−8」という音楽専用のコンピュータが開発され、このマシーンで自動演奏されているフレーズになります。
「シーケンサー」というコンピュータです。
ちなみに日本のローランドが開発しました。
元祖打ち込み!これがテクノの源流 MC-8 だ!
このコンピュータが演奏する16分音符のアルペジオがピコピコと鳴っていることから「ピコピコサウンド」と言われるようになります。
これが元祖テクノです。
当時、テクノといえば、このピコピコと鳴るサウンドが定番でした。
⇒Roland MC−8~元祖DTMな音楽専用コンピュータのマイクロコンポーザー
ジョルジオ・モロダーのピコピコサウンド
しかしこのピコピコサウンドは、YMOがオリジナルではありません。
欧米ではすでに奏でられていました。
そして欧米にテクノのルーツがあります。
YMOの場合、アメリカで著名だったジョルジオ・モロダーの影響を強く受けています。
たとえば「Baby Blue」。
E=MC2/Giorgio Moroder
似ているんですね。
ジョルジオ・モロダーもYMOとほぼ同じ時期です。音楽も、シーケンスフレーズが鳴り響いてピコピコしています。
ジョルジオ・モロダーもMC−8というシーケンサーを使って、ピコピコとやっています。
ジョルジオ・モロダー(Giorgio Moroder)はテクノポップを世界に広めた功労者
分数コードを使った浮遊感サウンド
ジョルジオ・モロダーの楽曲は、当時のアメリカンポップの醍醐味がよく出ています。
たとえば「分数コード」の使用です。
テンションノートを使用したコードですね。当時はベースとアッパーコードを綺麗に分離する形で使っていました。
たとえばC ⇒ F ⇒ F/onG といった進行です。最後のGのコードを分数コード「F/onG」とするのがミソです。
Fのコードを押さえてルートはGをベースにするコードです。ひねりを加えた偽終止のような形になります。
こうすると浮遊感が出てきます。
綺麗に解決しないため「んん?」と感じるのですが、これが浮遊感をかもし出します。
分数コードは、アメリカのポップス、日本のニューミュージックのシーンでも多用されていました。
松任谷由実や小田和正のオフコースといった音楽では随所で使用され、独特の深みを出しています。
ちなみにこの形をおもいっきり崩したのがYMOです。アッパーコードの中にもテンションを入れて「不協和音」にしながらも聴かせてしまうという荒技を繰り出します。
ちなみに中田ヤスタカもYMO的なコードの使い方をしています。
前衛的なサウンドを作るのですが、一歩間違えれば、とんでもない音楽にしてしまうため、高い音楽センスが要求されます。
テクノポップの広まり
話しを戻して、70年代の終わりから増速してきたこのピコピコサウンドが、ウィルスのように世界中に広がっていきます。
そして猫も杓子もテクノポップ。ピコピコとやり始めます。
現在でこそ音楽理論は分かりやすくなっていますが、当時はYMOサウンドの仕組みを解明できていないプロも多かった感じです。
ジャズをやっている人なら簡単なことですが、ポップス畑の人にはYMOは難解な音楽だったようです。
そのためYMO的な音楽を模倣するのも上手く出来ず、中途半端な模倣も多かったのも事実です。
真似ができないと諦めて、ビジュアル系に特化していったミュージシャンもいます。
Jポップの台頭もこの後くらいからの80年代の終わりから90年代に入ってからでした。
高度な音楽性よりも、オシャレで分かりやすく、「売れる音楽」へシフトしていきます。