フジコ・ヘミングさんのドビュッシー「月の光」が神々しい
ドビュッシーの「月の光」で検索していたところ、たまたま見つけたフジコ・ヘミングさんの演奏。
2017年に、東京・小金井市「宮地楽器ホール」のコンサートで演奏したフジコ・ヘミングさんのピアノです。
「フジコ・ヘミング ソロ・コンサート~東京・小金井 宮地楽器ホール~」というDVDにあるんですね。
この小金井市「宮地楽器ホール」での月の光が神々しいんです。出だしの演奏を聴いたところ、ハっとします。すごい。
何度も聞いてしまうんですね。惹きつけられます。
で、癒やされる。
月の雫(しずく)がしたたり落ちるかのようなフジコ・ヘミングさんの「月の光」の演奏
フジ子・ヘミングさん、御年86才。
名前は知っていましたが、詳しいことは知りませんでした。「遅咲きのピアニスト」として、NHKが持ち上げたのかなあ、くらいにしか思っていませんでした。
しかし、フジ子さんの「月の光」を聞いて驚きましたね。
フジ子さんが弾く「月の光」は、音が「ポツンポツン」としたたり落ちるかのように奏でられています。
そのしたたり方は、まるで月の雫(しずく)のよう。可憐で、美しく、やわらかい。神がこぼしたかのような「月の光の雫(しずく)」。
映画『フジコ・ヘミングの時間』本編映像(パリの自宅 「月の光」演奏シーン)
引用元:nikkatsuchannel(公式チャンネル)
いろんな方の「月の光」を聞いてきましたが、フジ子・ヘミングさんの「月の光」は格別。神々しい光を放っています。
すごい。
なんだ、これ?
こんなに丁寧で、やわらかく、神々しい演奏は初めてですね。音と音との間合い。一音一音が、こぼれるような、転がるような響き。
自称「月の光」フリークとしては、こんな演奏は初めて聞きます。ピアノの技術を上回る何かがある。
フジ子・ヘミングさんの演奏は格別。
ヘビロテです。
フジ子・ヘミングさんのピアノ演奏には生き様が映し出されている
この音の背後には、フジ子・ヘミングさんの生き様がありますね。
ええ。
間違いない。
フジ子さんは、苦労されてきたんじゃないんでしょうか。その思いやらが昇華されて、音の響きとなって表れている。
苦しみ、悩み、つらさ。
それらを昇華して、高貴さと祝福のエッセンスに変容している。
生き様。
それは、その人のオーラに如実に表れます。
雄弁に物語ります。
誤魔化しはききません。
見る人が見れば、一発で見抜きます。
霊性を感じ、霊性に向かっていこうとする人は、その魂に、輝き、高貴、善性、謙遜、愛、尊厳、神秘といった徳を宿し、その香りを放つようになります。
「慈しみの心」は、まさに霊性の心。霊性とは、ハートであり、慈しみむ心でもあったりします。
フジ子・ヘミングさんの「月の光」には、霊性の輝きがあります。ハートがある。
神を信じ、神を思いながら演奏されているのではないでしょうか。
どこか神々しい。
徳の光を放っている。
壮絶な半生を過ごしたフジ子・ヘミングさん~晩年に奇蹟のデビュー
フジ子・ヘミングさんのことが気になったので、もっと調べてみると、やはりそのようですね。ビンゴ。
◎フジ子・ヘミングの信仰: 眠られぬ夜のために
http://nikkou.cocolog-nifty.com/
◎フジコ・ヘミングのピアノは、なぜ人々の心をとらえるのか
http://www.u-canshop.jp/fuzjko/sp/
wikiもあります。これらをまとめて見てみますと、もう、並々ならぬご苦労をされています。音楽家にとって命である「耳」も不自由のようです。
父親は外国人で両親は離婚という母子家庭で育ったフジ子さん
フジ子・ヘミングさんは、大東亜戦争前の1932年、ドイツで誕生。父親は、建築家のスウェーデン人。母親は、ピアニストの日本人。
そんな国際的な家庭に生まれ育ったフジ子・ヘミングさん。幼少期に日本に移住。
しかし、父親は日本に馴染めず、一人スウェーデンに帰ってしまったと。両親は離婚。なんとまあ。
古い因習が残る戦前の時代に離婚。女手一つで育てあげる。大変です。経済的にも、慣習的にも大変。フジ子さんもなることながら、お母さんのご苦労は並大抵でなかったはずです。
母親からのスパルタ・ピアノレッスンを受けたフジ子さん
それからは、母親と一緒に東京で生活。で、幼少の頃から、母親からピアノのレッスン。
しかしそれはスパルタ式で大変厳しかったと。おおぉ。。
が、その甲斐あってか、東京藝術大学へ進学。各コンクールでも受賞。NHKのラジオにも出演したこともあったと。華々しいピアニスト人生をスタートしたわけですね。
29才の年に国籍が無かったことが判明
ところがなんと、1961年の29才のときに、国籍が無かったことが判明。なんと。
父親の国籍であるスウェーデン国籍があったはずなのが、実際は無かった。で、フジ子さんは「難民」に。
難民となったフジ子さんは、やむを得ずドイツへ移民として入り込みます。しかし難民生活は大変。極貧。食べるにも苦労。
起死回生のコンサート直前に耳が聞こえなくなったなど不遇が続く30代
が、1967年の35才のときにチャンス到来。なんとレナード・バーンスタインに認められ、ピアニストとして登用。
しかし皮肉なことに、コンサート直前に耳が聞こえなくなってしまったと。おおぉ。
さらに、追い打ちをかけるかのように、恋人の裏切り。失恋。
母親との確執。
ドイツでの極貧生活。
孤独。
難民生活。
「これでもか」という位に試練が続いたといいます。
しかし、そういう「どん底」にあっても、ピアノへの情熱だけは失うことは無かったと。
29才から続く不運、不幸。不遇。
67才の晩年に放送のNHK「フジコ~あるピアニストの軌跡~」によって奇蹟の転機
ところが1999年に転機が訪れます。フジ子・ヘミングさん、67才の年。
NHK・ETV特集「フジコ~あるピアニストの軌跡~」が放送されたところ、これがきっかけで一気にブレイク。
この放送がセンセーショナルを巻き起こし、フジ子さんは一夜にしてスターになります。
フジコ~あるピアニストの軌跡~
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29才から67才までの間は不遇、不幸、不運。苦節40年。
67才という、遅咲きも遅咲きのピアニスト。それが、フジ子・ヘミングさん。
キリスト教の信仰が支えになっていたフジ子・ヘミングさん
それにしても人は、40年もの間、苦労が続き、冴えない生活をしていますと、酒に走ったりするなど自暴自棄になったり、人生を投げ捨てて、退廃的になったりするものです。大概そうです。
ところがフジ子・ヘミングさんは違います。すさまじい苦労の中でも、ピアノへの情熱を失わず、「神」を信じるようになったといいます。キリスト教への開眼です。
これらがフジ子さんの支えになったようです。ピアノと神への信仰。
神に捧げる・あずける気持ちがピアノの音に表れている
有名になった今でも、ピアノを弾くときは「イエス様、イエス様と祈りながら弾いている」と。
また、「有名になったかどうかは関係がない。自分の音楽をだれかが聴いて喜んでくれるからうれしい」とも。
「お金は、寄付をしてしまう。自分は古着を着ていればいい。天国に貯金したほうがいい」とも。
ああ、やっぱり。神に祈り、愛と平和と感謝と利他の心があります。それがピアノの音となって表れています。
フジ子・ヘミングさんにとって、苦労が成長の糧になっています。魂を輝かせることにつながっている。スポイルしていない。
フジ子・ヘミングさんの生き様は、そのピアノの音にハッキリと出ていますね。音のオーラとなって表れている。
神の光と、愛と感謝の霊性に満ちている。輝いています。
それは聞く者の意識に差し込んできます。神のリズムを奏でている。
霊感で演奏するフジコさん~ピアノの音には演奏者の人間性・生き様が出ていると語る
で、こちらの関口宏さんとの対談番組では、フジ子・ヘミングさんの人生観やピアノ観をお話しされています。
関口宏の人生の金言(フジコ・ヘミング)
引用元:BS-TBS公式チャンネル
フジコさんが耳が聞こえなくなった話しとか、現代の十把一絡げに教える画一的な学校教育が自分に合わないこと。またピアノの演奏には、その人の人間性が表れることなど。
詐欺のようなことをしている人が弾くピアノには、その人間性がちゃんと出ることも言っていますね。上辺だけで、底の軽い音がするといいます。それは、その通りだと思います。
で、ピアノの演奏で大事なことは作曲者の魂に共鳴するかのような霊感が大切であると言っていますね。霊感。まさに霊性の領域です。徳が活動する世界ですね。
フジコさんは、霊感でピアノを弾いて、霊感の導きで演奏している様子が、この動画のインタビューでもわかります。
フジ子・ヘミングさんは霊性の輝きを放つ希有のピアノスト
フジ子・ヘミングさんは、霊性の輝きを放つ、希有のピアノストですね。驚きました。
と同時に納得。
ピアノの音に豊かな徳の響きを感じたので、「何だろう」と思ったのですが、やはりそうであったと。フジ子さんのピアノには神が宿っている。
で、そんなフジコ・ヘミングさんの生涯が映画化されていますね。以前はドラマにもなっています。映画は「フジコ・ヘミングの時間」というものですね。
映画『フジコ・ヘミングの時間』予告編
引用元:nikkatsuchannel(公式チャンネル)
それにしても、なんとも言えない魂の揺さぶり。久しぶりに深く感動したものです。フジコ・ヘミングさんに、泣けました(T-T)。
超遅咲きのピアニストですが、これからもずっとご活躍していただきたいですね。まさに「魂のピアニスト」です。