ヨハネの黙示録は戦争肯定の理由に使われてきた
「ヨハネの黙示録」は改竄されていると。
また「悪魔・獣の数字666」は皇帝ネロを指していると。
これらのことはこちらに詳しく書きました。
ヨハネの黙示録の真実を解説~後世に追加・改竄されていた 666は悪魔の数字ではない!?皇帝ネロを示す?【ヨハネの黙示録】
で、そんな改竄された「ヨハネの黙示録」なんですが、古来より戦争を肯定する理由や根拠として使われてきたと、田川建三氏は指摘しています。
なかなか由々しき問題ですね。
戦争の理由となっているヨハネの黙示録2章25-27
もっとも影響があった箇所(追記・改竄された箇所)はこちらであるとか。
ヨハネの黙示録2章25-27
私(イエス)が来るまで、自分達が所有しているものを固く守れ。そして勝利する者、最後まで私の業(イエスへの信仰)を守る者には、諸民族(異邦人)に対する権限を与える。それは、陶器の器が粉々にされるかのように、鉄の杖(武器)で治めることだ。※田川建三氏訳
お読みの通りです。これは強烈ですね。武器・武力を行使して異教徒(異民族)を攻撃し、支配することへの是認です。
イエスが命じたことになっています。
うむむむ。
で、これがあるためにキリスト教を信仰していない人達(国、異端者、異邦人)に対して、いくらでも侵略・征服しても構わない、住民をいくら殺しても構わないことへの後押しになっていたと。
「この紋所が目に入らぬかぁ」と水戸黄門の印籠をグィと押し出すかのようです。
ヨハネの黙示録は異教徒虐待も認める
しかも改竄された「ヨハネの黙示録」では、
- ひどい苦しみに遭わせよう
- 子ども達も打ち殺そう
- 人類の1/3が死ぬ
- 地上は1/3が壊滅する
- ライオンのような牙を持ち人間の顔をしたイナゴの大群が発生する
- 猛毒で苦しむ
- 火と硫黄の池に落ちて永遠に苦しむ
- ハゲタカが死体を食い荒らす様を「喜ばしい祝宴」
- 偽預言者の口からカエルのような悪霊が現れる
- ハルマゲドン
- 大地震が起きて地上は壊滅する
など、全篇を通じて悪趣味&残虐な描写に終始しています。まるで猟奇的な描写を楽しんでいるかのようです。
これらは後世の「追加・改竄」なんですが、残虐な殺戮も「よし」とするロジックが、改竄「ヨハネの黙示録」にあることがわかります。
キリスト教は殺戮の歴史
言うまでもなくキリスト教にはブラックな歴史が数多くあります。殺戮の歴史ですね。数え上げるとものすごい数になります。
10世紀半ばにフランス登場したカタリ派。異端とされ30万人の信者が殺害。解釈が違うだけで虐殺抹消。
その後の十字軍も然り。
南米インディオの大虐殺然り。
魔女狩り、異端者の処刑、宗教戦争、ユダヤ人迫害、民族浄化。。。
現代においてはナチスのホロコースト。
また日本への原爆投下。
原爆投下は、「日本人殲滅を目的(ドイツ人には使用しない)」だったことが、米英の大統領でかわしたハイドパーク覚書で明らかになっています。
日本に原爆投下した本当の理由~ハイドパーク会談の覚書【林千勝】
戦争を是とするロジックに、改竄「ヨハネの黙示録」があったと。
もちろんヨハネの黙示録だけではないでしょうが、人類の宿痾(しゅくあ)であるかのようでため息が出ます。
改竄文書がまねく悲劇
それにしても「ヨハネの黙示録」を改竄した編集者Sは、どういう意図をもって猟奇的な作文を喜々として書き込んだのでしょうか。正直なところよくわかりません。
ただ、Sは喜々としながら書き込んだことは、その文章から読み取ることができますね。まるでサイコパスさながらです。
が、その悪趣味な作文が、後世に甚大な影響を及ぼしたのは悲劇としか言いようがありません。
神が殺戮を許すという根拠に、改竄「ヨハネの黙示録」も使われてきたと。旧約聖書のヨシュア記さながらです。
旧約聖書といえば、神が殺戮を銘じたり、ユダヤの民を苦しめるなどの預言が数多く伝承されています。このことはバート・D・アーマンも問題提起しています。旧約聖書も由々しき問題があります。
逐語霊感説がまねく悲劇
キリスト教には逐語霊感説(ちくごれいかんせつ)といって「聖書は聖霊(神)が書いたので誤りがなく完璧なことば」という信仰があるといいます。なので「ヨハネの黙示録」も神の言葉になるのでしょう。
無謬説(むびゅうせつ)ともいうようですが、こうしたお墨付きが、人類に多大な悪影響を及ぼしてきた事実は認める必要があるんじゃないかと思います。
「神が殺戮を許す」という根拠に改竄「ヨハネの黙示録」が使われてきたと。まさに旧約聖書のヨシュア記さながらです。
現在も水戸黄門の印籠よろしく、戦争の正当性をうたう詭弁的根拠に使われているなら残念至極としか言いようがありませんね。「ヨハネの黙示録」は新約聖書から除外したほうがいいですね。