日本とイタリア(西洋)の本を巡る違い~識字率と文字文化

イタリアの出版事情~本を読まないイタリア人

いやあ面白い話しです。以前、読んでいたイタリア在住の方のブログに「イタリアの出版事情」という記事がありましてね。これが面白かっ。

何が面白いかといえば、

  1. イタリアには書店が少ない
  2. イタリアでは、著者自ら販売活動を行う
  3. 著者自らの販売活動による売上の一部を出版社が「上がり」として頂戴する。要するに「ピンハネ」ですな。
  4. イタリア人は本を読まない
  5. イタリア本は、8センチの厚さの「レンガ本」「ブロック本」もザラにあるとか。

このように、日本とは「真逆」な出版事情と読書事情。驚きますね。信じがたいような現実といいますか^^;

イタリアでは著者自らが販売活動・営業を行う

イタリアでは、著者自らが必死になって本の販売に勤む必要があるようです。びっくりなのですが、なんとも悲しいといいますか、そこまでしないとやれないの?といった感じです。

しかも一生懸命売った挙げ句、その売り上げの一部を出版社がピンハネ。

なんともサバイバルな出版業界といいますか、これがイタリアンな世界なんでしょうね。プチ・マフィアに映るのは気のせいでしょうか^^;

で、イタリア人は本を読まない。過半数が、年に1冊も読まないといいます。

こ、これは信じられない^^;とゆーか、正確な情報とか、知的好奇心といいますか、そういうのはどうなっているのかな、と素朴に???と思ったりもします。

ふーむ、恐るべしイタリア人といいますか。

こういう文化があるからでしょう、本もブロックのように厚さ8センチでドドンと出版する^^;重しに使えますね。

日本では出版社が販売活動・営業を行う

ちなみに日本では真逆ですね。書店は多いです。今ではアマゾンの破竹の勢いで、リアルショップは潰れているくらいです。

本の販促は書店やアマゾンがガシガシやります。アマゾンに至っては「この本を買った人は、こんな本に興味があります」みたいな、射幸心を煽っての巧みなマーケティングも仕掛けているほどです。

著者自ら「販促」するのは、出版記念講演くらいでしょう。あと超マイナーな人で有名になろうと、必死になって行商しまくるとか。

日本では著者自ら営業することは稀ですね。数多くの書店がやってくれます。

それに昔は、古本屋なんかも結構あったものです。珍しい古書を見つけてはワクワクしてみたり。

そんな「書の文化」が、日本には深く定着している感があります。

ヨーロッパ人は聖書の読み方をイスラムから教わった

ですが、こうした「現象」を見ますと、民族の意識の違い、深層意識の違いが見て取れて大変面白いです。こういう「現実」を見聞することこそ「学び」になります。

イタリアでの出版&読書事情は、2000年以上にわたるヨーロッパ特有の文化的影響が根底にあると思います。

実のところヨーロッパでは、文字文化(識字率)はそれほど盛んではなく、中世の頃は、教会関係者ですら「聖書が読めなかった・読んでいなかった」という仰天事実もあるくらいです。

そのため、勝手な「なんちゃってキリスト教」的な宗教儀式も出てきいたりします。実はそんなもんだったりします。

ですがまあ、後に聖書を読むようになるのですが、実は、イスラム圏の人々から聖書の読み方を教わっているんですね。

まあ、欧米人の多くが聖書を理解できるようになったのは、イスラム人のお陰だったりします。しかし、今ではイスラム圏の人々を攻撃したり爆撃していますがね。

ヨーロッパ人は識字率が低かった

ヨーロッパ人は、文字を読んだり、文字から情報を得ることが苦手な様子です。この傾向は近代になってもそうです。18世紀になっても、文字が読める人がとても少なかったと。

当時、イギリスでは約3割。30%の人しか字が読めなかったと。

で、パリなんかは約1割。たった10%の人しか字が読めなかったといいます。

ヨーロッパ人は文字を嫌う・苦手な所があり、こうした文化的背景といいますか、民族的背景がある感じです。

イタリアも同じで、イタリアは根っこの部分にも「文字文化に疎い」というのがあるのではないかと。それで現在のような出版&読書現象が起きているのではないかと。

日本は識字率が高く江戸時代でも8割以上が文字を読めた

一方、日本といえば、同じ18世紀の江戸時代であっても、すでに8割以上の日本人が文字を読めています。日本人は識字率が高かったため、知的にも教養的にもレベルの高い民族性となったことは疑問の予知がありません。

日本の場合、昔から「文字を読み、文字から学ぶ」という風習や伝統があり、「書を読む」ことが知的であり素晴らしいこととされてきていますので、現代でも「活字を追って読む」ということが盛んなのだと思います。

ちなみに、現在、世界で最もブログ数が多い国はどこかご存じでしょうか?それは日本です。日本は世界最大のブログ数を誇る国だったりします。

日本の「文字文化」「読書文化」は、もしかすると世界最高なのかもしれません。

「文字を読んで脳内で変換し理解する」という、脳内活動そのものが、実は計り知れない脳力アップになっていますね。また、書籍はまとまった情報や知識の宝庫であり、最高の情報源の一つです。

「読書」「活字を読む」という習慣は身に付けたほうがいいかな、と思います。

イタリア本「シャンタラム」は厚さ8センチもある本

ちなみに、ブログで紹介のあった「シャンタラム」。確かに、日本では「上中下」の三巻に分かれています。日本では8センチ級の「レンガ仕様」にはなっていませんね^^;

ちなみにこの「シャンタラム」は「実話」のようです。

  • 著者は1952年、メルボルン生れ。
  • 10代から無政府主義運動に身を投じ、ヘロイン中毒にも。
  • 1977年、カネ欲しさに武装強盗。逮捕、服役。
  • 1980年、刑務所から脱走。
  • 1982年、ボンベイに渡って、無資格・無料診療所を開設。ブラックジャックか(笑)
  • その後、マフィアと連んで、アフガン・ゲリラにも従軍。
  • さらにその後、タレント事務所設立。ロックバンド結成。旅行代理店経営。
  • で、薬物密輸の後に再逮捕。
  • 年貢の納めと悟ってか、刑務所で服役をまっとうす、と。

著者は凄まじいといいますか、破天荒な歩みをしている人なんですね^^;本の内容も大体察しが付きそうです。
しかし、こういう波瀾万丈といいますか、ハチャメチャな人生であっても、「ふむふむ、そういうのもあり得るよな」「でもふつーはやらんよな」という理解できる範囲の生き様や行動であるなら、まだ共鳴や共感も得やすいですね。

これが「宇宙人に遭遇した」「他の惑星に行った」という体験談になると、とたんに「トンデモ」な烙印をおされがちになります。で、こんな本に掲載されるリスクも出てきます。

同じハチャメチャな人生であっても、共感共鳴が得られるかどうかが天国と地獄の境目のような気もします。

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