悟りとは?悟りを開いた人50人に聞く
これは驚きですね。ものすごく興味深い記事です。
⇒「悟りってどんな状態?」悟った50人に心理学的手法で詳しく聞いてみた結果とは TransTech Conferenceから
「悟りってどんな状態?」悟った50人に心理学的手法で詳しく聞いてみた|ニューズウィーク
悟りを開いた人50人にインタビューした調査結果です。「悟りとは何か?」がわかる記事です。
こちらの記事でまとまっている通りですね。悟りに興味関心のある方にはおすすめのコンテンツです。
ちなみに、くわしいことは後述しますが、この記事で紹介されている50人の体験(PNSE)は悟りではありません。一瞥体験や覚醒体験になります。
それと、この手のリサーチ(科学的なリサーチ)には、エリコ・ロウさんが翻訳した「悟り」はあなたの脳をどのように変えるのかというのもあります。
が、こちらのサイトのは、「悟りの状態(一瞥体験や覚醒体験)」にフォーカスしてあり、しかもポイントが押さえてあります。
またわかりやすい。素晴らしい記事です。以下、まとめてみました。
なお、この記事の最後にある「PNSEには誰でも入れる」という箇所は間違った見解です。ここはマーティン博士と記者の見解です。悟り・覚醒体験者の見解ではありません。
この箇所は別ですね。誤解されやすいと思います。
けれども悟り・覚醒体験者の調査・統計そのものは信用できるのではないかと思います。
ちなみに「PNSE」とは「persistent non-symbolic experience」といいます。直訳すると「継続的非記号体験」。
日本語訳はわかりにくいのですが、要するに、「言葉などで表現できない継続する体験」、つまり超自我的な体験、悟り的な体験のことですね。
悟り・覚醒体験者50人にインタビュー
で、カリフォルニア?のマーティン博士という人が「悟っている」「覚醒している」と言われる人を12年間で2500人以上にコンタクトしたそうです。さらに500人と連絡を取り、そのうち50人を選別してインタビューしています。
- 50人は全員白人(おそらくアメリカ人ではないかと思います)。
- 男性78%。女性22%。
- 平均年齢53歳。
- 悟り・覚醒を初めて体験した平均年齢は41歳。
- 瞑想実践者86%。瞑想をしたことがない14%。
悟り・覚醒の進み方の傾向
悟り・覚醒の進み方の傾向としては、
- 通常の意識からだんだんと変化していく。
- 最終段階では自我の意識がなくなる。
- 雑念や感情、自己効力感が消える方向に進んでいく。
自己効力感とは「人生をコントロールできる」と感じる思い。一般的に自己効力感が高いほど幸福感を味わいやすいといいます。
けれども悟り・覚醒の最終段階になると、自己効力感が消える。そうなると「人生はただ目の前を流れていくだけ」という思いとなって、コントロールする思いがなくなるといいます。
これは興味深いですね。最終フェーズでいわゆる本当の意味の「あるがまま」が生じるということなのでしょうね。
「悟り・覚醒」に共通した体験
「悟り・覚醒」で最も共通した体験
- 自我の感覚に変化が起きる。
- 拡張する自我(本当の自分感)、消滅する自我(エゴ)感
- 通常の意識で感じる「自分」とは「全く異なる自分」を感じる。
- 「自分」という感覚が「広い空間いっぱいに拡大した」。
- 「神との一体化」「イエスとの一体化」「精霊との一体化」の感覚。
- 「自分」が自分の身体だけに収まっているのではなく、より大きな存在であるとい感覚。
これは一瞥体験が起きたときの感覚ですね。しかし仏教で言うところの有身見が消滅(空を如実に体験)とは異なります。
「拡張する自我」の体験です。で、この感覚には
1.変性意識・・・通常の意識が広がり神秘体験をする
2.空体験・・・異次元的な空、無、広がりを感じる
の2種類があります。変性意識体験は単なる体験で、体験の後には変容も起きず、何も残りません。文字では伝えきれないニュアンスですが、この両者は決定的に異なりますね。
自我の認識の変化
この自我の認識の変化について
- 突然訪れた・・・70%
- 数日間から数ヶ月間かけて段階的に訪れた・・・30%
- 宗教を持たない人は、突然の自我の認識の変化に戸惑う。
- 何かの精神病にかかったのではないかと勘違いする。
一瞥体験は爆発的に空間大に広がったり、無我を感じたり、流れを感じますが、中には時間をかけて認識の変化が起きることが、この調査からわかります。
悟り・覚醒の段階によって自我の感覚は異なる
悟り・覚醒の段階によって自我の感覚は異なる。
◎初期の段階
・自我は拡張した感じ
・あらゆるものに繋がっている感覚。
◎途中の段階
・自我は残っていて、時々自我に引き戻される。
◎最終段階
・自我という感覚は完全に消滅。
「空(広がる意識)」と「個我(エゴ)」が混在する状態が続き、次第に個我感が減っていくようになります。
思考や感情の変化について
思考や感情の変化について
- 思考は減少し、消滅していく。
- ネガティブな感情も減少していく。
- 最終段階では一切の感情を感じなくなる。
- その直前は、非常に強い「思いやり」「喜び」「愛情」が渾然一体とした感情になる(四無量心)
- これが強い幸福感となる。
- 特にいいことがなくても幸福に満たされる。
- 「悟っている」「覚醒している」と言われる人たちの中には、こうした幸福感を持っている人が多い。
これもよく言われることですね。思考は減少し、最終的には無くなるといいます。
またネガティブな感情は減り、その代わりに、理由の無い幸福感が生じるようになります。
仏教でいう「四無量心」です。これに満たされるようになります。
しかし最終フェーズになると、こうの幸福感も消えて「ただある」となるようです。
認知の変化
認知にも変化が起きます。
- 「今」への集中が強くなる。
- 今、目の前に起きていることを深く味わおうとする。
- 3次元のものが2次元に見え、世界が止まったように感じる
- 初期段階では、過去や未来の思考に引きずり込まれる。
物事が「二次元的な写真」に見えるというのは実際にあります。で、この事実を知りませんと、視覚に異常を来したのかと思います。
何故、二次元的に見えるようになるかといえば、集中力が高まるからです。「今」への集中が強くなると、距離感が薄らぎ、時に消えます。そうなると見ているものが平面的に感じられるようになります。
自動車の運転に集中すると、この現象が起きることがあります。あまり集中モードにならないようにするなどの配慮も必要になります。
外部刺激に対する心の反応の変化
外部刺激に対する心の反応の変化。
- 過去の記憶に興味がなくなる。
- 他人の過去にも興味がなくなる。
- 記憶そのものが薄れてしまう場合もあるとか。
こういうのもあります。記憶が薄れてしまうというのは、人によりけりかもしれません。けれども自分や他人の過去のことは気にならなくなります。
世界観の変化
世界観にも変化が生じる。
◎キリスト教徒
・初期の段階・・・「神、イエス、精霊」という世界観で、この信念が強まる。
・最後の段階・・・別の信念に移行する。
◎宗教を持たないスピリチュアル系の人
・最初の段階・・・「すべてとつながったエネルギー」「意識」という表現を取る。そういった信念を持つ。
・段階が進むにつれ・・・別の信念に移行する。
◎別の信念とは?
別の信念とは、どういうものなのだろうか。
論文では「自分の経験の真実に、より確信を持つようになる」「神」や「仏」「意識」「大いなるもの」などといった外部のものではなく、自分自身がそうしたものと融合してしまい、「神」や「仏」「意識」「おおいなるもの」という認識がなくなる、というような感覚なのかもしれない。
とありますが、「別の表現」というのは、自らの体感に基づく表現を取ることだと思います。
自分の感覚、体感に基づいた表現を取るようになります。おそらくこのことを、ここでは言っているのではないかと思います。
これらの体験は悟り体験ではない
ここで紹介されているリサーチ結果は信憑性が高いですね。大変納得します。
しかしながら、これらの体験は、いわゆる「一瞥体験」や「覚醒体験」でしょう。で、一瞥体験や覚醒体験は悟り体験ではありません。悟り体験は、体験が生じない体験(有り様)です。
ですので「体験」が残っている以上、決して悟りとは言えませんね。これらの体験は、悟り体験ではなく、一瞥体験や覚醒体験になります。
それにしても、アメリカですら500人とか2500人とか、かなりの数の人が、この手の悟り・覚醒体験(一瞥体験)をしていることがわかります。
中には勘違いも混ざっていると思いますが、この体験者の多さに、大変驚きます。
日本とは違って、オープン・公開しやすい環境なのかもしれませんね。日本の場合は、なかなか面倒なことが起きやすい傾向です。
特に仏教の文脈になると、いろいろと試されたりして、試練やら、いじめみたいな仕打ちを受けるケースもあります。
実際、詳細なことを語って、禅関係者から猛攻撃を受けて、消えてしまった人もいます。
魔界めいた人達がいるのも悟り・覚醒の界隈です。アメリカと違って、日本はまだオープンにしにくい環境のような気がします。
2020.5.3