先ほど、某企業の社長が時々出しているメルマガが届きましてね。で、それを見ると、瞑想とヨーガを始めたようなんです。
で、
「空を作りあげ、価値を感じない境地に達することができた」「価値を持たない生活は、まったく面白くなかったです」
とありましてね。
あー、やっちまったな、と思いましてね。
この社長、2週間くらい前に、
社員が突如、全員、辞めると言われてしまい、
パニックになっていたんですね。
中小企業で、社員8名の会社。
売上も伸びていたものの、
昨年までは、かなり無理を強いていた様子。
で、社員が疲れ切ってしまったことと、
たぶん、社員が力を付けてきたので、
独立したかったのではないかと思います。
それで、2週間ほど前に、一気に全員が退職。
社長は、ショック。
パニック。
社長もお気の毒なのですが。
で、その後、ヨーガと瞑想に
ハマっていった様子です。
しかし。
ヨーガと瞑想をやるのはいい。
が、心身を緊張させるやり方をやったな、と。
一発でわかるわけです。
その表現の中に「創り上げる」とありますのでね。
また「面白くない」とあります。
どういうやり方をしたのかが、わかるわけです。
そもそも、そんな、始めて間もない人が、
いきなり空を体感することなどありません。
心身ができていませんから、無理です。
でも、本人は、空を体験したと。
なるほど。
まったく初めての人でも、
空を体験できる方法があります。
おそらく、それをやったのでしょう。
どういうやり方をしたのか。
それは、体と心を、ある一点に結びつけ、
硬直させるやり方です。
マンダラとか、月輪などを、
じーっとひたすら見続けて、
姿勢を崩さないで、
ど根性で瞑想するわけです。
目線も固定して、グーっと見つめて
瞑想をするわけです。
これを数時間、やっていると、
空を体験することがあります。
ええ、体験します。
が、これは、本当の「空」ではなく、
擬似的な「空」だったりします。
いわゆる「変性意識」になって、
妄想を体験したことだったりします。
で、これこそミッチャー(邪)
と言われるやり方なんです。
で、これをしばらく続けると、
大変なことになります。
心身がおかしくなって、鬱みたくなったり、
気難しくなって、怒りっぽくなったりして、
異常行動を取るようになりますから。
これは、心身を過緊張させて、心を固めて、
ニセ禅定を作る典型的なやり方なんですね。
過緊張状態になって、心身をガチガチにし、
思考や感情を無理に押さえつけ、
それで一時的に「空っぽ」になっただけなんです。
硬く閉ざされた緊張状態を
「空」と錯覚したわけです。
緊張状態は、病的な状態です。
心は柔軟性を失っています。
だから、「面白くない」となるわけです。
つまり、この社長は、
「虚無」に陥ったわけです。
「虚無」です。
だから、面白くない。
で、虚無に陥ったことを、
「自分は変わった」
「何事にも動じない」
と錯覚するわけなんですね。
が、本質は、ガチガチに硬くなっている
だけなんです。
これに気づかなければ、
生活が破綻する恐れが出てきます。
ヤバいですなあ。
現代人の多くの人が、
指導者無しの我流でやると、
得てして、これをやりがちなんです。
初めての人がやりがちな瞑想。
状態。
で、悟ったなどと言い出して、
勘違いするんですね。
で、これは絶対にやってはならない
瞑想の仕方なんですね。
瞑想は、
・緊張を解く、とにかく心身をゆるめる
・目、口、首、肩に、無意識のうちに緊張があることが多いので、上半身の力を抜く
・目で追ったり、目の位置を固定しない
・何かになろうとか、何かを目指すという心得でやらない
この姿勢が大事なんですね。
とにかく、ゆるめることです。
わららかく。
脱力して、そのまんま座っていてもいいくらい。
こういう「ゆったり」としながら、
自分を客観視するアプローチをしている中で、
空を体験するならまだしも、
ガチガチの緊張状態で行ったり、
ど根性でやったり、
思考や感情を押さえつけたり、
痛みや緊張をトリガーとして瞑想を行えば、
100%おかしくなります。
この社長、おもいっきり、
やってはいけない瞑想にハマっています。
しかし、忠告しても聞かないだろうなあ。
むしろ、逆に説教しにかかったりして、
怒るだろうなあ。
そんな頑な様子が、文面から伝わってきます。
いけませんなあ。
瞑想は、即効的にできるものではありませんね。
やはり、時間をかけて行っていくものだと思います。
で、瞑想を続けたりしている人は、
それなりに、いろいろと培われて
いくようになります。
精神的なものを求めていく、その地道な姿勢に
尊い価値があることを、最近知りました。
やはり、ゆったりとしてでも、
何かを求めていく人は、
それなりのものが身につくようになります。
そんなにわか仕込みでいきなり空を悟るなど、
普通は、あり得ませんね。