成果主義を取り入れる学校の問題
学校教育の問題点の一つに、「成果主義」というのがあると思っています。
「成果主義」とは、何か目標を定めて、それを達成することで評価するシステムですね。
逆に達成しないと評価しないシステムです。
テストの点だけで「優劣」を決めるのは、まさに成果主義の権化です。
あえて数字化して、序列やランキングを設けて、人間の評価すら決めてしまいます。
が、こうした教育を、小中高、そして大学と12年間〜16年間、浸り続けます。
16年間もこうした環境にいれば、骨の随まで「成果主義」の価値観が染みこみます。
成果主義は未来志向~現在の有り様から離れる
「成果主義」の考え方は、企業をはじめとした資本主義的には都合が良いものです。
しかし人間の生き方としては、必ずしも良くなかったりします。
特に「心を成長」させるというテーマの場合、この「成果主義」が足をひっぱります。
心を成長させたり、人間性を高めるためには、目標など持たず、「今のあり方」を良くする「現在進行形」のやり方のほうがよくなります。
「成果主義」とは、未来形です。
「未来に期待する」やり方です。
成果主義は現実の有り様を否定しがちになる
「成果主義」は、現在の自分に焦点が当たりにくくなります。
常に未来に気持ちが行きますので、現状を否定したり、ないがしろしやすくなります。
そのため、感謝の気持ちを失うことが出てきます。
目線が「今」ではなく「未来」にあるからですね。
今の状況よりも、未来に関心が向いてしまうようになっているからです。
成果主義はうまゆくかない
こうした傾向は、「成果主義」が行き過ぎると、人間同士のつながりにも表れてきます。
たとえば、打算的な付き合い方がそうです。
利害関係の付き合いですね。
これは、今ではなく、未来・将来に期待した付き合い方になります。
「この人と付き合っていればメリットがある、儲かる」とか、そういう損得勘定の付き合いですね。
ですが、こういう関係は、メリットが無くなれば、いとも簡単に壊れてしまいます。
成果主義は、実はうまくゆかないことが多かったります。てか、ぎくしゃくした間柄にしてしまいがちです。
成果主義は未来志向になる
「成果主義」の教育を受け続けると、無意識のうちに「未来志向」なメンタル傾向が培われていきます。
「成果主義」を植え付ける教育は問題があります。
成果主義ではなく、「現在主義」という方法が望ましい。
成果主義の反対語は年功序列のようなことがいわれていますが、そうではなく「いまここ」に根ざしたあり方ですね。
もっとメンタルな問題です。
成果主義に代わる「いまここ」
で、成果主義に代わって、「いまここに」という生き方です。
これは禅や原始仏教が提唱する生き方です。
禅や原始仏教では、未来や過去に心を煩わせず、「今」を大切にする生き方を提唱します。
もちろん、未来や過去も意識しますが、バランス、ウェイトからいって「今」を重視する生き方を推奨しています。
ティク・ナット・ハン、リトリート’03年/ 1日目(5/11)
「いまここ」から不安も減っていく~マインドフルネス
「今」を大切にすることで、過去へのとらわれ、未来への不安や期待が薄れて、心が軽くなっていきます。「心のおしゃべり」も減っていくようになります。
「いまここ」というのは、最初は意識して、自分が行っていることを確認するトレーニングから始めていきます。
「今行っていること」を意識することで、「いまここ」モードにしていくわけですね。
こうした練習を、気がついたときに行っていきますと、次第に「いまここ」ができるようになっていきます。
本当は、学校でこそ、こうしたメンタルトレーニングの方法を教えるといいと思うのですが、臨床心理学の世界では「マインドフルネス」といって、精神治療やケアに高い方法として認められています。
「いまここ」「マインドフルネス」。
これは現在主義であり、自然体でいられ、心が軽くなる生き方だったりします。
過去や未来にとらわれがちな「成果主義」とは真逆になりますね。