イエスと同時代にいた奇跡を起こした者
イエスといえば「奇跡」になります。
が、イエスが在命の時代には、奇跡を行う人が何人かいたようです。どういう方々といえば、
- ホニ・ハメアゲル・・・紀元前1世紀、イスラエル(ユダヤ人)
- アポロニオス・・・1世紀、トルコ人
- ハニナ・ベン・ドーサ・・・1世紀、イスラエル(ユダヤ人:イエスと同郷のガラリアの人)
この通りでして、この3名が記録に残っています。
興味深いのはイエスがいたイスラエルのガラリアにいた人物もいたことですね。またトルコにもいたようです。
アポロニオス~イエスと同時代にいたトルコの聖者・奇跡を起こす者 ハニナ・ベン・ドーサ~イエス・キリストと同時代にいた奇跡を起こす人
ホニ・ハメアゲル
ホニ・ハメアゲル。
イエスが登場する約50年くらい前?(紀元前1世紀)、イスラエルにいた能力者であり聖者。最後は処刑されてしまったとか。が復活したとも言われています。
ホニ・ハメアゲルは神に近づくための修行をしていたといいます。ヨーガ的な修行ですね。真我に達するための修行でしょう。
で、「円描きのホニ」といわれ、円を描いて、その中で祈ると「祈りはすべてかなえられた」という奇跡を行ったユダヤ人聖者。
なので、禅定(サマーディ)ができた方なんだと思いますね。で、禅定(マサーディ)による神通力(シッディ)を発揮して、雨を降らせるなどの奇瑞を引き起こしたといいます。
ユダヤ教聖職者の多くが「模範的な人物」として尊敬しているといいます。おそらく人間性に優れた方だったのでしょう。
で、奇跡の力はハートエネルギーが源になりますので、ホニ・ハメアゲルは慈しみの心の強い方だったことが推察できます。いろいろと一致し、符合しますね。
ホニ・ハメアゲルの能力を示す逸話としては、70年後の未来を透視した「イナゴマメの木」の話しが残っています。
イナゴマメの木
ある日、ある老人が子孫のために「イナゴマメの木」を植えていた。実がなるまでに70年かかるという。
しかしホニ・ハメアゲルはトランス状態になって70年の時間を飛躍。70年後の「イナゴマメの木」の様子を見る。
そのとき、その老人の子孫とあって、祖父がイナゴマメの木を植えて育てたおかげで収穫ができていることを言っていた様を透視した。
中国の「胡蝶の夢」のような話しが残っています。
しかし、これはホニ・ハメアゲルが70年後に復活した話しであると、タルムードには伝えられているとか。
エソテリックなホニ・ハメアゲル
イナゴマメの木はホニの伝承の一つなのでしょうが、ホニ・ハメアゲルは他にも奇跡を行っていたようです。
特徴的なのは、円(サークル)を描いた図形の中で祈ると、すべて祈りがかなったということです。
エソテリックや西洋魔術、ユダヤのカバラですね。もしかするとホニ・ハメアゲルの術がエソテリックやカバラの元祖になっているのかもしれませんね。
人間的に尊敬されていたというのは、ハートが豊かだったからかもしれませんね。
祈りをかなえられる人、奇跡を起こせる人は、ハートが強く豊かな人が多いですので、ホニ・ハメアゲルもそういうタイプだったことがうかがえます。
テュアナのアポロニオス
テュアナのアポロニオス。
イエスと同時代の1世紀、トルコにいた聖者であり超能力者。遍歴をしながら各地で学び奇跡を行ったいいます。
アポロニオスも不思議な人で、妊娠中の母親の夢に神が現れ「あなたは私を産む」と告知。
で、ある日、母親が花畑でうたた寝していると、突然、白鳥たちが歌い踊り、晴天の空にもかかわらず雷鳴が轟き、アポロニオスが生まれたといいます。
生まれながらに神童で、14歳で哲学を学ぶようになったとか。その後、五戒に似た戒律を守る生活をはじめています。
20歳になってから5年間の沈黙行に入り各地の神殿巡る。やがて鳥の言葉がわかるようになったといいます。
40代にインドへ行く。バラモン僧に遭い、占星術を学び、悪魔祓いを行ったとか。
インドから帰還すると、地中海方面を遍歴。疫病を退散。降霊、悪霊退治、花嫁を生き返らせるなどの奇跡を行う。その後、政治犯と魔術の罪で投獄される。が、瞬間移動して脱獄。
晩年はトルコで弟子の教育指導に励む。
96年のドミティアヌス暗殺をリモートビューイング透視。
100歳以上生きたとか、死後復活して弟子の前に現れ昇天したという。
話しを盛っているところもありそうですが、イエスの話しに似ているところがあり興味深いですね。
アポロニオス~イエスと同時代にいたトルコの聖者・奇跡を起こす者
ハニナ・ベン・ドーサ
ハニナ・ベン・ドーサは1 世紀のユダヤ人。イエスと同じガリラヤの町にいた聖者。妻と子を持つ聖者。
ハニナは大変貧しかったが、自らの奇跡の力で自分を豊かにすることがなかったためか、ユダヤ教ではハニナの性格を称賛し聖人としています。
ホニ・ハメアゲルと同じようなタイプですね。おそらくハニナもハートが強い方なんだと思います。
で、ハニナは、よく祈ったといいます。で、祈りによって、病気治し、パンを出す、黄金を出す、雨を降らせる、雨を止めるなどの多くの奇跡を行ったと。
ハニナの祈りは非常に深い集中状態になるのが特徴だったようです。これは禅定でしょう。
あるときハニナが祈っていると、蛇が噛みついた。しかし蛇に噛まれたことに気づかなかった(感じなかった)といいます。逆に噛みついた蛇は死んでいたと。
深い禅定に入り、その禅定力で奇跡を起こしていたんでしょうね。こうしたことはヨーガや仏教にくわしく伝わっています。奇跡奇瑞のエネルギーの源はハート(慈悲)です。
ハニナはハートが強く、慈しみの心の強い方だったことがうかがえます。
ちなみに「ハニナ・ベン・ドーサの死によって、不思議なことをする人たちは存在しなくなった」とユダヤの聖典には記されているといいます。
ハニナ・ベン・ドーサについては、こちらで詳しく説明をしています。
ハニナ・ベン・ドーサ~イエス・キリストと同時代にいた奇跡を起こす人
イエスだけが特別ではなかった
このように当時は、複数の能力者がいたといいます。イエスだけが特別だったのではないということですね。
で、ユダヤ教で尊ばれて聖人となっている能力者がいることは注目に値します。
ちなみにイエスは、ユダヤ教(特に律法を重視するファリサイ派)に対して、強く否定したり、時に挑発してファリサイ派に嫌味な態度を取っていました。こうしたイエスの言動は、新約聖書の福音書にわりと伝承されています。
果たして福音書の記述が、どこまで正しいのか、イエスの実像をどこまで正しく伝えているのかは、そもそも疑問な点もあります(福音書はかなりの創作で、ほとんど史実を伝えていないのではないかと思っています)。
で、奇跡を起こす力は「愛」です。したがって「奇跡を起こせる」という観点からいえば、ホニ・ハメアゲルやハニナ・ベン・ドーサ、そうしてイエスも「愛」が豊かだった人がわかります。
イエスを別格にしてキリスト教は作られていった
で、キリスト教が作られていくプロセスにおいては、イエス以外の能力者(奇跡を起こせる人)が当時いたことも意識されていたはずです。
また当時のイスラエルや地中海沿岸の事情、つまりローマ帝国に圧政を強いられる事情を踏まえてキリスト教は作られていったはずです。
こうしたことを踏まえると、ペトロやパウロ達が、イエスを祀って宗教化していくプロセスにおいて、イエスを差別化・特別化して強調し、大衆への訴求力を高めようとしたのは当然あったことでしょう。
そういう意図をもってキリスト教は作られていったんじゃないかと思いますね。で、これは新興宗教が誕生するプロセスと基本的には同じです。
新興宗教が作られていくプロセスは、いつの時代も同じです。2000年前のパウロ教(キリスト教)の創成プロセスも同じだったと思います。
イエスも祀り上げられて、実のところいい迷惑しているのかもしれませんね^^;
ちなみにイエスの本当の教えは、どうも「トマス福音書」にあるように思います。