ハニナ・ベン・ドーサ~イエス・キリストと同時代の奇跡を起こす人
イエスが在命だった時代、同じイスラエルのガラリアに「ハニナ・ベン・ドーサ(Hanina ben Dosa)」という奇跡を起こす聖者がいたといいます。Hanina ben Dosa
ハニナ・ベン・ドーサは、1 世紀のユダヤ人。イエスと同じガリラヤの町にいた聖者だといいます。妻と子を持つ聖者だったといいます。
ハニナは大変貧しかったものの、自らの奇跡の力で自分を豊かにすることがなかったためか、ユダヤ教ではハニナの性格を称賛し聖人としているといいます。
ハニナ・ベン・ドーサの祈りは禅定
ハニナは、よく祈ったといいます。で、祈りによって、病気を治し、パンを出す、黄金を出す、雨を降らせる、雨を止めるなどの多くの奇跡を行ったとか。
ハニナの祈りは非常に深い集中状態になるのが特徴だったようです。おそらく禅定でしょう。
あるときハニナが祈っていると、蛇が噛みついた。しかし蛇に噛まれたことに気づかなかった(感じなかった)という。逆に噛みついた蛇は死んでいた(おそらく気絶ではないかと思う)。
深い禅定に入ると、外界で起きていることは自覚できなくなります。なのでハニナは禅定(サマーディ)に入っていたことがわかります。
またハニナは、その禅定力で奇跡を起こしていたんだと推察します。このことはヨーガや仏教のほうがくわしいですね。
ちなみに「ハニナ・ベン・ドーサの死によって、不思議なことをする人たちは存在しなくなった」とユダヤの聖典には記されているといいます。
ハニナ・ベン・ドーサが残した言葉
ハニナが残した言葉にはいくつかあります。
罪への恐れが知恵に先立つ者は、その知恵は永続する。しかし、知恵が罪への恐れに先立つ者は、知恵は永続しない。⇒仏教でいう慚愧のある者の知恵は永続するということ
人の行いが学問に勝るところでは、その学問は成り立つ。しかし、学問が行いに勝るところでは、その学問は成り立たない⇒机上の空論の学問は役に立たないということ
人間から好意を寄せられる者は、神から愛される⇒ごもっとも^^
ハニナ・ベン・ドーサが行った奇跡
ハニナ・ベン・ドーサは祈りによって、病気を治し、雨を止める、雨を降らせる、パンを出す、黄金を出すなどの多くの奇跡を行ったようです。
師匠の息子の病気を祈りで治す
師匠のヨハナン・ベン・ザカイの息子が重い病気にかかったとき、ヨハナンはハニナの祈りを求めた。
ハニナが祈ると子供は回復した。大喜びしたヨハナンは、素晴らしい弟子に感嘆の声を上げた。
妻は「あなたは師匠よりも偉いのですか?」と聞くとハニナは「私は王の侍従のような者」と謙遜した。
祈りが通じると病気が治る
ガマリエル2世の求めに応じて、ハニナはその息子のために慈悲の祈りを行って救いを願う。
祈りが終わった後に、ガマリエルの使者に「患者の熱は下がった」と言って保証した。これを聞いた使者は「あなたは預言者なんですか」と聞いた。
しかしハニナは否定して、逆に「私の経験上、祈りが自由に流れ出るときは必ず叶えられる。そうでないときは拒絶される」と言った。
使者たちはハニナが言った時刻を書き留めて、ガマリエルに戻ると、確かにその時刻に息子の熱が下がっていたことは事実だった。
祈りで雨を止め・雨を降らす
ハニナが旅行しておると突然の豪雨となった。ハニナは「宇宙の主よ、全世界は喜んでいますが、ハニナは迷惑しています。どうか雨を止めてください」と祈った。
すると雨はすぐに止んだ。
家に着くと、彼は祈りを変えた。「宇宙の主よ、ハニナが安らぎを享受している間、全世界は悲しむべきでしょうか」。
すると、大量の雨が降った。
「ハニナ・ベン・ドーサの祈りの前では、大祭司自身の祈りは何の役にも立たない」と言われた。
酢でランプを灯す
ある安息日の夜、ハニナの娘がランプに油ではなく酢を入れてしまい、その過ちをハニナに言った。
しかしハニナは、「油に燃える力を授けた者は、酢にも同じ力を授けることができる」と言った。
貧しかったハニナだが
ハニナは非常に貧しかった。
ハニナの偉大な力で多くの人は助かっていたが、ハニナ自身は安息日にはパンを作ることもできず、かご一杯の豆だけで安息日を過ごしていたという。
けれども彼の妻は恥ずかしかった。
ハニナの家にはパンを作る小麦粉がなかったが、毎週金曜日の安息日にはオーブンに燃料を入れて煙を上げて、みんなと同じように安息日に食べるパンを焼いているんだと近所の人達に思わせていた。
しかし、ある女性が疑念を抱いて、ハニナ家の真実を暴こうとした。
が、ハニナは機転をきかせて、妻のために祈りで工作をした。
その女性が安息日にハニナの家に来て、煙を上げているオーブンを覗き込むと、なんとそこにはパンがいっぱいあった。
祈りで天界にある黄金の机の脚を取り寄せる
パンを出す奇跡で恥ずかしい思いをしなかったハニナの妻ではあるが、将来のための財産が欲しかった。
そこでハニナに祈ってもらって、天から前払いするように頼んだ。
ハニナは妻の求めに応じて祈った。
すると黄金のテーブルの脚が出現した。
妻は喜んだ。
が、その夜、妻は天国の夢を見た。
その夢では、聖人たちが3本足のテーブルで食事をしている姿だった。
妻は、天界の聖人たちの食卓から脚を奪ってしまったことを後悔し、黄金の脚を返すようにハニナに頼んだ。
すると黄金の脚は消えてしまった。
この奇跡についてタルムードは「天は与えることはあっても奪うことはない。しかし天から与えられたものを返すというのは偉大である」と述べている。
まとめ
このようにハニナ・ベン・ドーサも、イエスに勝るとも劣らない奇跡を数多く行っています。
で、ハニナ・ベン・ドーサの能力は「禅定力」であることがわかります。
日本でも、6世紀の飛鳥時代や奈良時代には、山中に入って戒律を守り、禅定を得て験力(神通力)を得るのが盛んだったほどです。
禅定に入って願いを叶える力を身につけたり超能力を得るようになった人は、時々出ています。
近年では、飛騨福来心理学研究所の山本健造氏が、祈りによって病気を治したり、さまざまな奇瑞を引き起こしていました。
そもそも岐阜県には、古くから伝わる「日高見の法」という集団で瞑想(禅定と思われる)があり、これを行うことで未来を予知するなどが可能であったといいます。
最近では天啓気療院の北沢勇人氏が、その類い希な能力でさまざまな病気治しをされていますね。
また20年ほど前に他界しましたが、キプロスにはダスカロスという空前絶後の大ヒーラーもいました。イギリスにはハリー・エドーワズという、これまた飛び抜けたヒーラーがいました。
全員に共通しているのは「愛の力」を重視していることですね。また「禅定(ワンネス)」に入ることができることです。
で、中でも大切なのは「愛」。特異な能力の発生源は「愛」になるんでしょうが、大変深い意味があったりします。
2000年前のハニナ・ベン・ドーサやイエス・キリストだけでなく、奇跡を引き起こす方は現代でもいらっしゃいます。
昔は、こうした人が祀り上げられて宗教にもなったのでしょうが、ご本人してみればいい迷惑なのかもしれませんね。
イエスも祀り上げられて、実のところいい迷惑しているのかもしれませんね^^;