コロナ経済対策が不十分な理由
内閣官房参与(安倍内閣での相談役)を6年間勤めていた藤井聡さんが、自民党若手議員で構成している「日本の未来を考える勉強会」で、熱いトークをしています。
「甘えているのは60代70代の自民党幹部議員だ!」「これに怒りを感じない政治家は政治家ではない!」かなり激しく怒っています。激昂。
けれどもその怒りは、ごもっとも。義憤です。その怒りの裏には、国民を思う気持ちがあります。そのほとばしり。筋の通った熱い語り口に納得もします。
で、藤井聡さんのトークは、こちらの動画。
「日本の未来を考える勉強会」ー1000万人の低所得者を放置したら日本の未来はないー令和2年4月8日
政府は、2020年4月に「コロナ経済対策」を出しましたが、実体は16.8兆円の新規国債。しかし政府貸付金(融資)などを加えて、見た目だけ108兆円にして発表。ハリボテの経済対策です。数字だけ108兆円にして、国民を誤魔化そうとしているのは明らかです。
で、何故、こんなにショボく、不十分なのかといえば、「自民党幹部議員らが甘えているから」というのが藤井聡さんの指摘です。
以下、藤井聡さんのトークを要約してみます。
「国民を甘やかしちゃいかんのだよ」と言う60代70代の政治家
今の60代70代の自民党幹部議員、官僚、経済における大学教授、彼らはほぼ全員、同じ考えを持っている。
それは「国民を甘やかしちゃいかんのだよ」という考え。「国民を甘やかしちゃいかんのだよ」と言う政治家もいる。
しかし高額所得で甘やかされているこの人達だからこそ、こういうことを言う。彼らこそが甘やかされているから、こんなことを言う。
どんな人でも成功ができた高度成長期とバブルの時代
けれども彼らが、そう考えるには時代背景がある。今の60代70代の人は、30才くらいまでは高度成長期を体験している。で、バブルのときに大人になった。高度成長期の時代に育ち、大人になってからバブルを体験している。この時期に成功体験を身につけた。
その時代に貧乏なのはあり得ない。その時代に貧乏になるのは、本人の努力が足りなかった。そうした時代に貧乏になるのは明らかに本人の責任。
高度成長期期はインフレだったので、どんな人でも成功できた。そもそも客が、ものすごく多かった。需要が多かった。
適当な仕事をしても業績を上げることができた。相当にレベルの低い人でも儲けることができた。誰でも儲かった。何やっても儲かった。そんな時代。
高度成長期とバブルは、儲かる時代だった。この時代に成功をしても、それは単に時代のお陰だった。時代がもたらした恩恵だった。彼らの実力ではない。
1998年以降は長引くデフレ時代
だが今は違う。長引くデフレ。1998年以降は長引くデフレ時代。
デフレでは、そもそもお金を稼ぐことが難しい。儲けることがとてつもなく難しい。
人によっては交通事故のように転落してしまうことがある。倒産、失業が起きることがある。いったんこうなると、なかなか這い上がれなくなることもある。そういう人達が、ネットカフェ難民にもなっている。
さらに、こうした人の元に生まれてきた子どもたちは、這い上がることしらできなくなる。
貧困者は決して甘えていない
しかし60代、70代の感覚では、「貧乏はその個人のせい」というのがある。「その人が努力しなかったから貧乏になった」のだと。
60代70代の人には感覚のズレがある。彼らの感性は、今の時代には合っていない。
今は違う。今は、潜在的な貧困者を入れると、国民の60%が貧困者。その人の能力とは関係がない。
サイコロをふって貧困になってしまった。デフレのせいで就職氷河期を迎えてしまった。そんな人が何千万もいる。
彼らは決して甘えていない!毎日頑張って生きている!しかし、あいつらは「甘やかしちゃいかんのや」と言っている!
これに怒りを感じない政治家は政治家ではない!本当にボクは許せない!
今回、コロナによって、確実に倒産が増え、従業員を解雇せざるを得ない状況に迫れている経営者が一杯いる。
彼らは甘えているんでしょうか?
甘えているのは60代70代の政治家
コロナによって人が亡くなることを防ぐことは大切なことです。立派。非常事態宣言も大事。
しかしちゃんとした経済対策を打たないと、失業者が増え、自殺者も増えてしまう。25000人くらい増えてしまう。
こういうことをしっかりと考えて政治をやっていただきたい。これが保守だったんじゃないんですか。
田中角栄とか昭和の政治家は、こういうことを考えて日本の政治をやっていた。甘えているのはあなたた達だ(自民党幹部議員達)。
コロナ経済対策を誤ると亡国になる
藤井さんは安倍内閣の相談役を務めていただけに、リアルな政治と、政治の中枢のことがわかっているのでしょう。で、その上での発言なんでしょう。
人々を貧困に陥らせない真っ当な政治を「経済(経世済民)」といいます。「経済」とは、人々を物質的に幸せにすることです。経済政策は、人を活かすもするし殺しもします。
コロナの今、経済政策を誤れば多くの貧困者と自殺者を生み出します。これは避けたい。人道的にも問題があります。しかし充分な補償をしなければ、ディストピア(暗い未来)になってしまいます。
国内の企業が倒産した後に、中国企業が買いあさってしまうこともあり得ます。日本が、中国に占拠されてしまう。そういう暗い未来絵図は避けたいものです。コロナ経済対策を誤ると亡国になります。これは避けたい。
MMT(現代貨幣理論)に基づく政策に期待
れいわの山本太郎氏は、MMT(現代貨幣理論)に基づく政策を掲げています。ところが自民党内部にも、消費税ゼロと、MMT(現代貨幣理論)に基づく政策を掲げた新しい動きが出てきています。⇒安倍政権のコロナ経済対策、なんと自民若手たちが「批判」を始めた!
「日本の未来を考える勉強会」は、自民党の安藤裕議員を中心に構成。MMT(現代貨幣理論)に基づく政策を構築し、
・消費税ゼロ
・積極的な財政出動
・緊縮財政・プライマリバランス黒字化(財政健全化)への反対
を掲げています。
小選挙区制になってから派閥は解体され、派閥政治は行われなくなりました。その代わり、有志の議員で勉強会を開催しているようです。その一つが「日本の未来を考える勉強会」のような議員連盟であると。
「日本の未来を考える勉強会」は、まともじゃないかと思います。経世済民を自で行くグループっぽい。
政治は、海千山千な世界ですので、100%信用するのはヤバいと思いますが、しかし大胆な財政出動をする経世済民となることに期待したいですね。
しかし、とにもかくにも、コロナ経済対策をしっかりとして、国民を路頭に迷わせないようにすることが、政治家の勤めでしょう。