モジュラーシンセサイザーの構成はVCO・VCF・VCA
「モジュラーシンセサイザー」。ボリュームがたくさんあり、複雑に見えるかもしれません。
しかし、その実体はシンプルです。
・音源(VCO)
・音色加工(VCF)
・アンプ(VCA)
の3つが基本です。
この3つがモジュールに分かれています。あとは他にオプションがありますが、同じモジュールが複数あるため複雑に見えるだけです。
原理が分かれば、中学生、いや小学生でも分かります。複雑に見えてカンタン。それが「モジュラーシンセサイザー」です。
現代のキーボードのほうがシンプルに見えて、実は複雑だったりします。ええ、ややこしい。
といいますか、使い方がワカランものもあります。今のほうが、操作を覚えるのが大変だったりします。
複雑に見えてシンプルなのが「モジュラーシンセサイザー」の世界。シンプル故に、味わい深く、奥を追及もしたくなったりもします。
また、そのフォルムも、家具のようであっていいんですなあ^^レトロな世界かもしれません。
モジュラーシンセサイザー名機の数々
が、「モジュラーシンセサイザー」は、「プー」とか「ビー」といった音しか出ません。
そんなチープなサウンドしか出せない「モジュラーシンセサイザー」。こちらの動画を見ると、その様子がわかります。
Modular SynthsBenge explains creating a sequence on a modular syntheziser
で、動画では各社の「モジュラーシンセサイザー」を紹介しています。この動画を元に、各社の「モジュラーシンセサイザー」を説明してみましょう。
ムーグ・シンセサイザー:moog system
まず、最初のこれはムーグ・シンセサイザー。「モーグ」なんていうのが正式といいます。
が、「モーツァルト」を「モオツァルト」と小林秀雄が言うのに似ていますかね。「ムーグ」のほうが慣れてしまっていますし、言いやすいですね。
moog system
これですね。
ブラックパネルに、整然と並んだボォリューム。どことなくパイプオルガンのストラップ群を彷彿とさせます。美しくもあり、格好いいですね。
ムーグのシステムシンセは、その外観は、パイプオルガンを意識しているような気がします。
ムーグは独特の音がします。歪んだ音になっています。
実はこれ、フィルターの設計に問題があって、音が歪んでしまうようになってしまっています。
しかし、この音の歪みが、ムーグの特徴を出してしまい、愛好家も出てきてしまったものです。
それで修正をかけず、そのまんま設計ミスを踏襲し続けたのではないかと思います。
ちなみに、当時は3万5千ドル。当時は、固定レートで1ドル360円の時代。ですので、日本円で1260万円。凄まじい値段です。
アープ:ARP 2500
こちらは、アープ。
ARP 2500
アープのパネルは、発電所とかの電源装置を連想させます。武骨でダサい^^;
美観とか、エレガントとか、操作性とか、全く考慮していないでしょう。
たぶん、基板とか、パーツとか、その辺りの組み方から、結果的にパネルデザインに「なってしまった」んじゃないかと思いますね。設計者、制作者目線の作りですかね^^;
しかし、この無骨で無機質なパネルが、どことなく味があったりもします。
で、この「ARP 2500」ですら、当時、2万ドル。日本円で、720万円。
この発電機の操作パネルのような出で立ちでありながら^^;た、高い(-o-;)
こちらは、ARP 2500のアナログシーケンサーこれなど、まさに「電源盤」といった感じです。
ローランド:Roland System100M
こちらは、国産のローランドの廉価版「モジュラーシンセサイザー」。システム100M。
System100M
当時、シンセサイザーといえば、1千万円とか超えるのが当たり前の時代。固定レート360円の時代でしたので、メチャ高額。家が一軒建つ価格^^;
そういった中、20万円台でシステムシンセが手に入るということで、庶民向けの「モジュラーシンセサイザー」でした。
しかし、機能的には10万円前後のモノフォニックシンセと、そう変わりがないんですけどね^^;
EMS VCS3
あとこれは、「EMS VCS3」というシンセ。
EMS VCS3
日本では、60〜70年代、効果音として、音効さんが使っています。ウルトラマンとかの特撮で聞いた、「ポワァァァ〜ン」といった宇宙音も、「EMS VCS3」です、確か。
お値段は、当時、88万円くらい。こんなアタッシュケースみたいな代物が、100万円弱という時代。
ブックラ:Buchla Modular
こちらは、「ブックラ」。
Buchla Modular
アメリカのシンセイザーメーカーですが、日本では、ほとんど使われていなかったと思います。
ムーグ・シンセサイザーはモジュラーシンセサイザーの代名詞
こんな感じで、この動画では、60〜70年代の往年の名機「モジュラーシンセサイザー」をご披露。
しかし、この人は往年の名器「モジュラーシンセサイザー」を全部所持しています。
ホント、よくぞ、これだけを所持していますね。メンテナンスだけでも年間、かなりかかりそう^^;
これだけを個人で所持しているんですかね。それか、会社作って、スタジオなのか。いずれにしろ維持費は高額でしょうナ。感心してしまいます。
それにしても、ムーグ・シンセサイザーは、デザインが飛び抜けていますね。格好いい。
木枠にはめ込まれた、黒いパネルと「電気」パーツが、妙なアンバランスでありながらも、美しいフォルムを演出しています。
やはり、楽器は、それ自体が「アート」であって欲しいものです。アート性のあるデザインは、クリエイティブ魂を刺激します。
ムーグは、「アート」しています。このアートな外観が、シンセサイザーの定番にもしたんじゃないかと思いますね。
しかし、ムーグの音そのものは、クセがあります。やはり、この歪みですね。
実際に聞くと、ちょっとうるさく聞こえます。耳につきます。音だけからいえば、アープとか、イーミュ、ローランドのほうが、聞きやすかったりもします。
そんなムーグシンセなのですが、この歪み具合が、天然のディストーションサウンドにもなり、かえってロッカーに愛好される結果にもなってしまっています。
いろんな意味では、ムーグは、結果オーライです。そもそも、開発そのものが、結果オーライでしたし^^;お茶目な、結果オーライな産物、それがムーグ・シンセサイザーだったりもします。
冨田勲さんはモーグ・モジュラーシンセサイザーでオーケストラを作った
ちなみに、このモーグ・モジュラーシンセサイザーを使いこなして、壮大な作品を作ったのが、冨田勲さんです。
モーグの音を何度か重ねたり、加工すると、芸術性の高い音になります。
が、アートな音にするまでが大変。そんな気の遠くなるような職人技で作り込み、作品を作ったのが冨田勲さんです。その職人技が聞ける作品の一つがこれ。
アルバム「惑星」です。このアルバの音は、上記の「モジュラーシンセサイザー」を使った音です。元は、「プー」とか「ピー」という音しか出せないシンセサイザーの音です。
これを使って、ここまで仕立てています。「まさか!」と、信じられなくなるでしょう。
しかし、その「まさか!」をやってしまったわけなんですね。なので腰を抜かすほど仰天するわけなんです。
この使い方と作り込みは驚異的です。唸ります。よくやるなあ、と感嘆すらします。恐るべし、日本の「匠の技」。
と、冨田勲さんにかかれば、モジュラーシンセサイザーの凄さといいますか、大変さもよくわかります。
モジュラーシンセサイザーは、奥の深い世界かもしれません。
2015/03/09 09:03