「ヒューゴの不思議な発明」はつまらない?~映画を楽しむポイントとは?

映画「ヒューゴの不思議な発明」

映画「ヒューゴの不思議な発明」。
日本では2012年に公開された映画ですね。

映画『ヒューゴの不思議な発明』予告編

ブライアン・セルズニックの小説「ユゴーの不思議な発明」が原作。

第84回アカデミー賞で最多の11部門にノミネート。
5部門で受賞。

そういう映画ですね。

ヒューゴの不思議な発明は映画誕生をリスペクトしたオマージュ作品

で、「ヒューゴの不思議な発明」は、番宣が「運命」とか意味深になっていて、ミステリーに思われるかもしれません。
が、それはまったく違います^^;

映画そのものを敬愛する気持ちを「映画化」したものですね。

現代技術では最高峰の映画技術で、「鮮やかで美しい映像」を見るのが狙いでしょう。

「映像美を愛でる」ための映画です^^;

と、映画が誕生した頃の作品に対するオマージュです。

「ヒューゴの不思議な発明」は、いわば映画が誕生したことに敬意を払った(リスペクト)オマージュですね。

が、この製作意図を理解しませんと、映画「ヒューゴの不思議な発明」は、まったく面白くない映画になります。

ええ。
断言していいくらいです。
つまらない映画になります。

3Dで見ないとつまらないヒューゴの不思議な発明

また「ヒューゴの不思議な発明」は3Dで見ないと、作品本来の良さが分かりません。

レンタルで借りて2Dで見ても、面白さは半減します。といいますか、作り手の意図が分からなくなります。

「ヒューゴの不思議な発明」は、映画そのものへのオマージュです。

20世紀前後に誕生した映画。
最初は無声映画でしたね。

3Dで見ることで、初めて製作の意図が理解できる映画です。

ヒューゴの不思議な発明は映画そのものへの愛

結局、「ヒューゴの不思議な発明」とは、
映画を愛する人が作り、
映画を愛する人のための、
映画への愛にあふれた映画なんですね^^

映画そのものへのリスペクト作品です。
映画への愛ですね。
ここを理解する必要があったりもします。

では、映画へのリスペクトとなっているシーンはどれでしょうか?それを解説したいと思います。

リュミエール兄弟の機関車ををリスペクト(1895)」

まず「リュミエール兄弟の機関車」ですね。
wikiにもありますが、これがリュミエール兄弟の機関車の動画です。
世界初の映画です。

「The Lumiere Brothers’ – First films (1895) 」
これですね。

◎リュミエール兄弟
◎リュミエール兄弟の最初の短編ドキュメンタリーフィルム

「ヒューゴの不思議な発明」では、このリュミエール兄弟の機関車の映画が挿入されています。

まさに「映画を愛し、映画へのリスペクト」が出ている演出です。

月世界旅行 (1902)ををリスペクト

そしてこの直後に出た、誰もが一度はチラっとてでも見たことのある「月世界旅行」。

「月世界旅行」 (1902)
ジョルジュ・メリエスの代表的な作品ですね。

◎月世界旅行&メリエスの素晴らしき映画魔術オフィシャルHP
◎月世界旅行 (映画) – Wikipedia

で、「ヒューゴの不思議な発明」には、登場人物として、ジョルジュ・メリエスが登場しています。

いやあ、なんとも温かい設定です。
映画への敬愛、感謝の気持ちがあふれていますね。

ですが、映画史が少しわかっていないと醍醐味は薄れると思います。

てか意味不明になるはずです。
さっぱりワカラナイといったことにも^^;

しかし「ああ、映画の歴史、映画そのものへのオマージュなのだな」と気付くと、面白さが倍加します。

過去の名作映画を3Dで表現する演出がいい

「ヒューゴの不思議な発明」は、最先端の3D作品です。技術的には、映画史の中でも最高の頂点に達しています。

「ヒューゴの不思議な発明」の映画の中には、20世紀前後に誕生した黎明期の名作が出てきます。
しかも3Dで。

なんともジーンと来ます。

映画が誕生した頃は、当時の技術が世界一でした。
ですが、今から見れば、チープな技術です。
でも当時は最高峰でした。

今から見れば、取るに足らない映画を3Dで再現させて、新しい息吹きを与えています。

モノクロのあの映画が、とても新鮮です。

今では誰も見向きもしないであろう古き時代の映画作品を、3Dにして、現代の私たちにも面白く見せようとしています。

なんとも温かい。

制作者の温かい思いやりを感じます。
古きものに新しい命を与える。
過去の名作を3Dで蘇らせています。

壊れた機械仕掛け人形を直すメタファーが感動

このことを、映画の中ではメタファーとして「壊れた機械仕掛け人形」になぞらえています。

映画では「壊れた機械人形」を修理して、それが思わぬ展開を見せて、ハッピエンドに導きます。

古き時代の映画を3Dで見せる = 壊れた機械人形を直す

もっと言いますと、

・古き時代の映画を、3Dで見せて、観客を楽しませる。

・壊れた機械仕掛け人形を、少年が直して、映画の草分け的ジョルジュ・メリエスを幸せにする

こういう関係があります。

メタファーですね。
ひっかけています。

うーん、ニクイ演出です。
なんとも奥ゆかしいといいますか。
映画を愛する制作者らの気持ちが伝わってきます。

「ヒューゴの不思議な発明」は、優しさと思いやりに満ちた作品です。監督の映画への愛情、建設的な考え方がよく表れています。

3Dで見ると芸術性がわかる

作品の内容も、嫌味がなく、気持ち良いものです。
3Dで見ると、まさに「芸術」でしょう。

素晴らしい色彩感と3Dの見せ方。「映画は映画館で」と言わんばかりの映像描写ですね。

2Dでは、面白さが半減しますが、そこは想像で補うと、醍醐味が分かります。

2Dでも、色彩の美しさ、センスの良さが分かるかと思います。

「ヒューゴの不思議な発明」は、映画を愛する温かい心意気に貫かれた映画愛好家らしい作品です。

故きを温ねて新しきを知る

それと同時に、伝統を大切にする気持ち。
尊敬し大切にする気持ち。

先人達の努力や活動に敬意を持つことはとても大切です。歴史を織りなす中で、私たちもその一コマです。

そして、この一コマを、子孫に渡していきます。
私たちは、一点ではありませんね。
連続した中での存在です。

そして人は亡くなった後も連続していきます。

時間的にも、空間的にも、人は関連性の中で生きています。

「ヒューゴの不思議な発明」は、時間的な連続性の中で生きる人間が、相互に関連していることへの思いを気付かせる内容ですね。

伝統を大切にすることは、決して古くさいことではなく、むしろ感謝の気持ちの表れであったりします。

「故きを温ねて新しきを知る」。
「ヒューゴの不思議な発明」には、そんな精神があったりします。

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