アショーカ王。
マウリア王朝の三代目の王といいます。
インドを統一した王様として知られています。
漢訳では「阿育王」といいます。
アショーカ王は紀元前250年頃(今から2250年前)の王様だといいますね。
ブッダがお亡くなりになった後100年少し経った頃に登場した王様です。
アショーカ王は、即位して7年目までは戦争を繰り返す残虐非道な王。大勢の人の命を殺めたといいます。10万人を殺害し、15万人の奴隷を生み出したともあります。
ところが仏教の比丘である耶舎(やしゃ)の説得を受けて改心。
耶舎比丘は「戦争は悲しむ人々を増やすのでよくない」といった説法をして、アショーカ王を改心させたといいます。
実は耶舎比丘の、この説得は勇気のある行為だったりします。当時の王は人格障害が多く、王に対して直言する者を、気に入り無ければ死刑にすることもあったくらい。
なので耶舎比丘が、アショーカ王に「人殺しはいかんぜよ!」と言ったことは、かなり勇気のある行為だったりします。ごいすー。
が、アショーカ王は、耶舎比丘の話しを聞き入れて納得。こともあろうか、そのまま仏教に深く帰依することになったといいます。
その後、アショーカ王は約3年間修行をして三菩提(悟り)にいたったといいます。
三菩提の解釈としては、別の解釈もあるようですが、アショーカ王は悟ったのではないかと思います。
というのも、その後のアショーカ王は、慈悲と布施に基づく超福祉的な政治と、人々を善行と繁栄に導く政治を行っているからです。
アショーカ王は、慈悲のある悟りをされたのではないかと想像します。
アショーカ王は、「人々がこの世にいる間は、安楽のある生活を。死後は天界へ往くような生き方をして欲しい」「王というのは、一切の生き物とと世間を益するのが勤め」と常々言っていたといいます。
すごいですね。
慈しみの塊です。
また慈しみ、真実、寛容、忍辱、布施といった徳目による「法の規制」と、心を観察する「法の静観」という心の観察を行うことを、インド中に施行していたといいます。
まさにダンマを法律とし、ダンマの実践を国中に行わせようとした類い希なる転輪王(理想の政治家)だったりします。
現代においては、一部のグローバル金融家が大企業の大株主となって実質世間を動かし、一部の者が富む格差社会にもなっていますが、2600年前には、文明が乏しいとはいえ、崇高な理念を持ったアショーカ王が登場し、人々に安楽をもたらせようとしていたことは驚きであると思います。
アショーカ王のことは、もっと注目されて、もっと評価されていいのではないかと思います。理想の在家であり、理想の政治家であろうと思います。